介護業界のベトナム人採用について


【課題】

介護業界における外国人材の採用・雇用についての課題は2つあります。

  1. どのように応募者を集めるか?
  2. どのように定着率を高めていくか?

<外国人材を雇用する上で想定されるリスク>

  • 離職(失踪・転職)
  • 提供サービスの低下、劣化
  • 犯罪行為(窃盗、横領、など)

 どんなに採用や教育に時間と費用と労力をかけても、去る者が現れたり、問題が発生すると思います。けれど、それに慣れてしまって改善努力を怠るようになると、負の循環に入ります。

 日本人でも問題が起きます。外国人相手となると、そのバリエーションはさらに拡がります。相応の覚悟が必要なことは間違えありません。

 

教材「介護のしごと」
教材「介護のしごと」


介護職と外国人労働者との相性について

1.「介護」は不人気職

 例えば「日本で働く方法として、介護職しかない」というのであれば、まだ根強い日本ブランドの強みを活かして、介護職でも構わないという人々はいるかと思います。

 けれど、日本で働けて、もっと良い待遇の職種もある中から「介護職」を選ぶ理由は乏しいのが実情だと思います。

 「建設業」もかつては不人気職だったのですが、景気を反映してか、待遇が良い会社が増えており、稼ぎたい者たちからの人気を得つつあります。人気職だった「製造業」は、残業に制限がかかるようになったため、人気が衰えてきたのも建設業に流れる要因の1つかと思います。

 「介護業」に流れる理由が必要で、現状はその理由が乏しいかと思います。

 

2.外国人材という特性

労使トラブル

 外国人材には「会社への忠誠心」や「日本社会における重要な枠割としての認識」などを期待してはいけません。仕事より大事なものの方が多い人たちを雇うので、条件を良くしなければ冷淡な振る舞いとなって返ってくると想定します。

顧客トラブル

 老人介護現場でいえば、高齢者の中には外国人に対して偏見を持つ方たちがいるかと思います。そのような中でうまく打ち解けられるほどの器量のある者は少数派かと思います。また、痴呆症やイライラが抑えきれな人たちとの交流は、誰であっても大変です。双方にストレスが生まれることは必至かと思います。

従業員同士のトラブル

 「日本人と外国人」「技能実習生と特定技能外国人」「A国とB国」・・・。

 留学生同士の集まりなら多国籍や多様な背景を持った方たちとの交流は楽しげな風景を想像できますが、同じ職場の同僚となるとネガティブな想像をしてしまうのは自分だけでしょうか?

・自問自答による葛藤

 日本人で介護士の仕事を選んだ方たちの選択理由を想像すると、「困っている人たちの役に立ちたい」とか「日本社会の抱える問題であり、貢献したい」などという理由なのかと思います。その他、いろいろな境遇・事情があると思います。でも、少なくとも外国人材が日本社会が困っているので助けたいとか、日本社会に貢献したいというのは稀有な存在だと思います。社会貢献の方法としても介護以外にもいろいろあるわけなので、「介護で恩返ししたい」というエピソードを想像するのは困難です。外国人材にとっては「入りやすい入り口だったので入ってきた」という人たちが多いかと思います。

 どの業界でも同じだと思いますが、実体を知らぬ存在が入り込んだとき、そこに留まり続けたいと思わせる理由や方法が必要です。

 


介護業界における在留資格

 

EPA(経済連携協定)

(在留資格名)介護

技能実習1~3号

特定技能1号

開始時期  2008年 2017年 2017年  2019年
就労期間 介護福祉士取得者は永続的 介護福祉士取得者は永続的 最長5年 介護福祉士取得者は永続的
受け入れ国

ベトナム

インドネシア

フィリピン

制限なし 制限なし

ほぼ制限なし

(※退去強制の受入れを拒む国はNG)

応募条件

看護学校卒業など

留学ビザで来日し、要請施設で修学し(その間、介護施設でのアルバイトが可能)、介護福祉士の資格取得後、介護ビザへ切替を行う。

特になし

(建前としては職務経験6か月以上が求められているが、他の技能実習同様、職歴を偽造することが通例)

技能試験、日本語試験が課せられる

入管法改正「介護分野で最大6万人」政府の期待に冷ややかな見方
出処:Yahoo!、産経新聞(写真)、毎日新聞(記事)

関係者は冷ややかな目

 外国人材の受入れに対して、過去にも行われていたが十分な成果が得られなかったとして「介護業界は冷ややか」な目を向けているという記事が上がっていました。

 実際、その通りだと思います。

 1.どうやって集めてくるのか?

 2.言葉巧みに採用したとして、雇用し続けることの難しさ(定着)

 

 他にも選択肢がある中で、介護業を選んでもらうのはよほど給与等での待遇を良くしないとムリかと思います。それ以外となると、各事情に合わせたインセンティブです。

 例えば、特定技能1号では家族滞在が認められていませんが、きちんと5年間勤めてくれて介護福祉士の資格を取得し、介護の在留資格に切り替えることができたら家族滞在が認められます。そのとき、障害があるお子さんや配偶者がいれば優先的に勤め先の施設への入居を認めるなど・・・。(親御さんを老人ホームに入れてあげられればもっと需要はあると思うのですが、どうやら実の両親でも在留資格「家族滞在」は認められていないようです。)


受入れ企業様が相応の覚悟と柔軟な姿勢で彼女たち・彼らを雇い入れてもらえるのであれば、

双方のためのコンサルティング提案を行い、問題解決・目的達成を図ります。

介護実技訓練「オムツ替え」の様子
介護実技訓練の様子