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ベトナムで事業再構築補助金の事業計画書を作った話(リモート事業計画書作成)

リモート事業計画書作成

ベトナムで事業再構築補助金の事業計画書を作った話(※後述:採択

新型コロナウイルス感染症第四波が到来したベトナムで続々と封鎖地域が増えていく中、在宅勤務で事業再構築補助金の事業計画書を策定していました。
新型コロナウイルス感染症第四波が到来したホーチミンで続々と封鎖地域が増えていく中、在宅勤務で事業再構築補助金の事業計画書を策定していました。

<事業再構築補助金(第2回)申請受付中>

 

日本の会社から依頼を受けて、事業再構築補助金の事業計画書を作っていました。

 

日本にいた時は公的な中小企業支援センターで補助金関係の仕事もしていたので、ブランクはあるものの、さほど苦労せずできると引き受ける時はたかをくくっていました。

 

ブランクのせいなのか、補助金が進化していったのか、事業再構築補助金の特徴なのかわかりませんが、結果としてものすごく大変でした。

 

<作成にあたって苦労したこと>

 

2社から頼まれたので2社分をそれぞれ作っていたのですが、同業種なので似てる部分がたくさんあり、収益計画のExcelはほとんどそのまま使えたので随分と助かりました。

 

大変だったのは作業を進めていくと、補助金に関する新情報が入ってきて作り直さなくてはならなかったことです。

 

基本である公募要領はきちんと読んでから始めました。

 

Googleで検索して上位に出てくる無料テンプレートみたいなのも何件かあさりました。

それで良いのか悪いのか分からないのですが、自分としてはダメだろうと判断を下し、

自分でWordとExcelとPowerpointを駆使して1から作り上げていくことになりました。

 

ある会社さんは雑収入の金額が多くて、前期と前々期で差が激しいのです。

「これは何だろうか・・・」と頭をよぎったのですが、経常利益を書かなければ必要ないと思って、

経常利益なしで作っていました。

 

すると、後に経常利益が必要だと判明します。

 

また、あるテンプレートでは事業年度とその後4期分しかなかったので計5期分でいいのだと思いました。

(私が日本にいた時に手がけていた補助金申請も3期か5期でした。)

ところが、後に事業年度とその5年後分が必要だと判明します。

 

公募要領に「事業終了後3年~5年で・・・」という文言があったのですが、

任意で3・4・5年のどこかを選べがいいのだと誤解していました。

 

そして、最後に最も苦労したのは、見映え的に収益計画を千円単位で作っていたのです。

すると、電子入力申請のフォームを見ていると"単位:円"となっていたので、1円単位の収益計画を再度作ることになりました。

 

その時は千円単位で作ったものも使おうと残していたのですが、ある項目において「前年の2%増」という算出根拠にしていると、それが5年続くと1円単位と千円単位だとやや気になる開きが生まれてしまうのです。

そうすると、電子申請の数字と事業計画書の数字が異なってしまいます。

 

誤差の許容範囲内だと判断する優しい審査員だったら見逃してくれるかもしれませんが、そうでないことの方が多いでしょうから、

結局、1円単位ですべて作り直して、それをExcelで千円単位に直したものを事業計画書に貼り付けるという二度手間作業をもくもくとやるはめになったのです。

 

「日本でよくこういう作業をやっていたなー」と思い出深かったのですが、

ベトナムでやることになるとは思いも寄りませんでした。

 

<作業途中で入って来た1回目の採択結果>

 

年度内で何回かに分けて行われる補助金申請だと、最も通りやすいのは1回目だと言われています。(新たに出来た補助金だと特に。)

それは審査する側の体制が整っておらず、審査ノウハウが確立されていないからです。

国の予算が使われているものは、予算を残さず使い切りたいという行政側の思惑もあるかもしれません。

そんなどさくさに紛れ込ますため「何としても1回目の締め切りに間に合わせよう!」と躍起した事業者・支援者が多くいたはずです。

 

ところが蓋を開けてみると、事業再構築補助金1回目の「通常枠•卒業枠•グローバルV字回復枠」は、要件を満たした申請件数14,913者のうち採択は5,150者なので採択率34.5%だったのです。

 

これを多いと捉えるか、少ないと捉えるかですが、

個人的にはかなり少なかったのではないかと思います。

(ちなみに、緊急事態宣言特別枠は要件を満たした申請件数4,326者のうち2,866者で採択率は66%・・・。これはまぁまぁか、やや低めという感想です。)

 

この情報が出たので、手がけていた事業計画書の加筆作業を行うことになります。

とにもかくにも売上高根拠、集客数根拠、市場規模調査・・・

どうしたらいいかと数日間ずっと頭を悩ませていました。

 

やれることはすべて出し尽くした上で、

最終的に「ダメだったら公募3回目で再挑戦だな」という結論で自分を納得させました。

 

<事業再構築補助金の恐ろしい点>

 

事業再構築補助金の恐ろしさは、合格基準をどこに引いていいのか解からぬ点です。

採択率の低さ(※あくまで個人の感想です。)で、しっかりした根拠を示さなくてならないという気持ちになりますが、

ではそのマーケティングを行うとなると「それって専門業者が何万~何百万円、大企業の市場調査なら大手リサーチ会社・コンサル会社等が何千万~数億円という価格を費やして行なっている仕事ではないのかい?」という疑問が浮かびます。

 

それをできる中小企業・中堅企業がどれだけあるのか・・・。

そして、それができる人はこんな面倒な手続きが多い補助金を使わなくても、別のやり方で資金を集めて事業を成功させることができるのではないか・・・。

認定経営革新等支援機関に頼るとしても、認定経営革新等支援機関への報酬額が多いとダメそうなので支援し甲斐がないのでは?

 

事業再構築補助金は、バラマキっぽかった補助金と違い、審査の厳しさと甘さの境界線の見定めが難しいです。