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ベトナムの蚊に認められるようになった

ベトナムに移り住んで6年目になります。

 

今までベトナムでは蚊に刺されることがほとんどありませんでした。

基本的に窓を開けて生活しているので部屋に蚊がいたということはしばしばあったのですが、刺されないので寝ているときに耳元で不快音を鳴らされない限りは退治することなく、ほったらかしにしていました。

 

なので、蚊取り線香を炊くこともなく、殺虫スプレーも使ったことがなく、ずっと過ごしていました。

 

蚊にも好みがあって、何を食べて育ってきた分からない外国産(外国人)の血には興味が沸かず、親譲りの慣れ親しんだ国産(ベトナム人)の血を求めているのだと勝手に思っていました。

 

それぞれの母親が命の危険を冒してまでも自分たちを生むために採取してくるのですから、DNA並みに身に沁みているはずです。

 

1日3食を繰り返す人間の食事とは、その選択において重要度が違います。

彼女らはグルメなのです。

 

今年に入って、なぜか蚊に刺されるようになりました。

どうやらベトナムの蚊に「ベトナム人に近しい存在」として認められたようです。

 

名誉なことではあるのかもしれませんが、こちらとて獲物として標的にされていると分かった以上は黙ってやられるわけにもいかず反撃しています。

 

最初の頃は、手でパンパンと叩くという純粋な力と能力で肉弾戦を繰り広げていたのですが、

それでは敵わないと分かり、今は大家さんに借りた武器をしようしています。

 

人間はこうして他の動物との戦いを制してきたのだと、

人類の歴史を遡ったりしました。

 

日本の蚊は、いつの間にやってきて、ささっと済ませて、悟られる前に帰るというやり手のヒットマンのような手口なのですが、

ベトナムの蚊は、私に対しては品定めをするかのようにしばらくウロウロしているのです。

 

「こいつしかいないのかー。もうちょっと待っていたら他にもっといいのが現れるかもなー」みたいな感じで・・・。

 

今まではそれで対象として選ばれずに去っていたのかもしれませんが、

不要不急の外出が減ったことで待っていても来ないことがわかり、

私に妥協しているようです。

 

宣戦布告してこない相手を攻撃することにいささか後ろめたさはあるのですが、

向こうとて油断している相手に対して仕掛けてくるので、

相手陣営を同じ一味として捉えるのであればお互い様です。

 

そのような攻防戦を繰り広げています。