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技能実習生業界の補欠採用について

これがなぜPRになるのか不明ですがあるベトナムの送り出し機関関係者がSNSに公開していた情報
これがなぜPRになるのか不明ですがあるベトナムの送り出し機関関係者がSNSに公開していた情報

ベトナム人技能実習生業界の採用面接において「補欠採用」という風習があります。

 

例えば、採用人数10人とすると、10人中何人かは内定から入社までの半年~1年の間に、途中で辞退・挫折・病気などで当初の予定より減ってしまうことに備えて、採用人数以上に内定を出しておくのです。

 

内定時に「あなたは補欠合格です」とする場合もあれば、内定時には区分けすることなく、今後の日本語上達度や授業に取り組む姿勢などの学校からの報告を勘案したり、数か月後に再度面接したりしたりする場合もあります。

 

日本の受入れ企業や監理団体が補欠合格や補欠が含まれていることを送り出し機関側に伝えたとしても、送り出し機関(ベトナムの会社)は本人たち(ベトナム人)にそのことを隠す(=伝えない)ことがしばしばあります。

 

なぜならば、本人たちに補欠であることを伝えると、本人たちはそれを受け入れず、辞退します。そうすると、補欠採用制度を維持できないのです。

だから、あくまでも本人たちには内定がもらえたので、これから日本語の学習に励んでくださいと伝えます。

そして、彼らが寮生活で毎日勉強に励んだ数か月後、ある日突然、「あなたは補欠合格でした」もしくは「企業側がキャンセルしました(ウソ)」などと残酷な宣告をします。

 

当然、本人や本人たちの家族らと送り出し機関はもめます。

でも、日常茶飯事なので、慣れて何も感じなくなっているのでしょう。

 

救済方法かのように、他の会社の面接を提示したりします。

確かに、日本語能力が他の面接者より若干高いので合格率は高いです。

けれど、条件や勤務地等が(元々の会社を)上回るかは運次第であり、確率としては低いのではないかと思います。

けれど、「今までの努力を無駄にしたくない」「どうしても日本に行きたい」という彼らの弱みに送り出し機関は付け込みます。

 

以前、自分が短い期間、日本語を教えていたホーチミンの送り出し機関も補欠採用システムを採っていました。

なので、毎日教えて、毎日会っていた生徒が、ある日、突然、いなくなります。

補欠合格者だったそうで、昨晩のうちに荷物をまとめて寮から出ていき、田舎に帰ったという話を聞かされます。

3か月という短い期間だったのですが、何人もいました。

 

印象的だったのは、日本から社長さんがホーチミンに来たからその会社の内定者(男子生徒3人、女子生徒2人)は学校から許可をもらって、授業を休んでその社長さんとの食事会に行ったのです。

食事会が終わってから明るい表情で帰ってきて、午後の授業に加わりました。

その女の子2人は最前列の席なので、休憩中によく話す仲でした。

 

どうやらその食事会が最終面接だったようです。

女の子のうち1人は翌日から別れも告げずに居なくなりました・・・。

(ちなみに、男の子も1人取り消されたようですが、彼は他の会社の面接を受けるために学校に残ることにしたとのことです。)

 

また、他の生徒たちに「何という会社で働くの?」と尋ねると、知らないと答えます。

「何県に行くの?」と聞くと、それはわかっているようですが、最終的に彼らの3分の1~4分の1くらいは違う都道府県に行きました。

 

補欠者を曖昧にするために、内定者にも詳しい情報を与えないようにしていたのではないかと疑っています。

 

日本企業と監理団体、送り出し機関の都合に合わせて、不幸なベトナム人を生み出していく。

それがベトナム人技能実習業界の補欠採用システム。