ベトナムのチップ文化について
配給のない封鎖生活が延々と続いていることから想像してみた
<チップの同意語・類義語>
定義や境界線が難しいのですが、いわゆる「お礼」としてのチップではなく、人や組織を動かす為のチップ・手数料・賄賂がベトナムには存在します。
今日時点で、封鎖されて3週間以上経ちます。
最終検査だと言われて全住人が受けたPCR検査は「結果が3日後」だと言われましたが、5日目が終えようとしている中、未だ何の通知もありません。
「昨日(4日目)は日曜日だったからかな?」という寛容性を発揮してみたものの、5日目は平日(ちなみに日本は祝日ですがベトナムには関係ありません。オリンピックに出場したベトナム代表選手団は数日前に帰国したという報道を見かけました。)です。
「忘れられているんじゃないか?」と思うと同時に、アンダーデスクマネーや袖の下と呼ばれる金銭を払わないからじらしているのではないかという考えも浮かびます。
うちのアパート経営しているベトナム人夫婦はアメリカに留学していたこともあり、チップ文化には慣れているはずです。
封鎖中、夜にたまたま出くわした際、「小銭を持っているか?」と訊かれて「何に必要なの?」と尋ねたら、ゴミ収集作業の男性にチップを払いたかったそうです。
(ちなみに、大家さんも私もお金を持っていなかったので払えなかった。)
<強欲vsケチ>
ここのアパートに住み始めてからかれこれ数年の仲ですが、大家さんは"金払いが悪い人でない"という印象です。
どちらかというと私の方がケチで、あるエピソードがあります。
ここの前にホーチミンで住んでいたアパート兼作業場で、シャワーから温水がでなくなったので当時の大家さん(※今の大家さんとは別のベトナム人女性)に修理を頼んだのです。
自分が壊したわけではなく機械不良だったので、修理費は大家さん負担で直してもらえることになったのですが、修理業者のおっさん(ベトナム人男性)が修理を終えた後、いかにも大変だったいう顔をして、水を飲ませてくれといって私らが座っているテーブルに居座ります。
平日の日中だったので他のベトナム人スタッフがおり「チップを渡した方がいいのだろうか?」と日本語で相談したのですが、ベトナム人のおじさんも”チップ”という言葉が聞き取れたのかもしれません。
なかなか帰ろうとしません。
勝手に私らの書類を漁ってくるので早く帰ってほしいと思って、日本語で「この人はなんで帰らないの?邪魔なんだけど」とチップという言葉を出さないようにして邪険な表情でスタッフたちに話したのですが、相手は”もらえるもんもらわないと帰らない”と言ったふてぶてしい態度で居座ります。
最初のうちはチップを渡そうかという気もあったのですが、あまりに図々しいのでこちらも絶対に渡さないと覚悟を決めて長期戦に持ち込みました。
その日は新しい注文が入って忙しかったので、私もスタッフたちも全員で慌ただしく働いていました。
おじさんは暇そうにしているのですが、当時はスマホがさほど普及していなかったのでヒマを持て余すものを彼は持っていません。(あったとしても、ゲームをやり始めたらさすがに「帰ってくれ」と言ったかもしれません。)
小一時間ほど居座ったかと思います。
しびれを切らして帰るおじさんに、私は「サンキュー、サンキュー」とだけ言って見送りました。
私にケチな一面があることは否定しませんが、すべての状況において払わないわけでなく、
人並みには払っているつもりですし、本当にありがたいと思ったときには奮発することもあります。
払う相手を選んでいるのだと思います。
<払う相手・状況、そしてその時の気持ち>
(詳しくは知りませんが)大家さんもそうなのでないかなと思います。
チップは払うけれど、賄賂は払う人でない気がします。
(こちらは後ろめたいことをしていないのだから、正々堂々と行う。)
ベトナムにある日本の会社も二手に分かれます。
賄賂なんぞ払ったことがないという会社もあれば、
それ用の裏金を作っている会社もあります(日本で上場会社している会社でもやっているので、どういう帳簿の付け方をしているのか気になります・・・)。
チップというのか、手数料というのか、賄賂というのかわかりませんが、
それによって色々な手続きの流れが「速く」なるのは確かなようです。
大家さんがどういう折衝を行なっているのか分かりせんが、
それに味をしめて(大家さんが)たかられるぐらいなら、
「まだまだ隔離されてやろうじゃないか」と開き直れます。
私は大家さんの味方です。