· 

日本で働きたいベトナム人ITエンジニアの不可解な言動と執念

日本で働きたいベトナム人ITエンジニアの不可解な言動と執念

2度も在留資格認定証明書不交付処分を受けたベトナム人ITエンジニア

在留資格認定証明書不交付処分の取消訴訟の被告は国
取消訴訟の被告とすべき者は国

<なぜ彼は不交付処分を受けたのか?>

 

日本で働きたいベトナム人ITエンジニアが在留資格認定証明書の「不交付処分」を受けたという相談が持ち掛けられました。

 

理由は「申請書の記載内容(経歴)に矛盾があり、申請内容に信ぴょう性があると認められない」というものでした。

 

紐解いていくと、実は以前、本人は別の会社から内定を受けて、在留資格認定証明書交付申請(1回目)を行なったのですが、その際にも「不交付処分」を受けたことが申請(2回目)後に解りました。

 

本人はそのことを意図的なのか、訊かれなかったからなのか、

告げていなかったのです。

 

1回目の不交付理由を調べると「提出資料等の信ぴょう性に疑義が認められ、申請内容に信ぴょう性があるとは認められません」ということでした。

 

私は「ITエンジニアというのは、受入れる企業がIT関係で、本人もIT関係の学歴や職歴要件を満たしていればすんなり認められる」という認識でいます。

 

前回の会社は、会社名がIT関係っぽく、ホームページでみるとソフトウェア関係の会社だと判りました。

本人の証明書(大学の卒業証明書等)がニセモノなのかを疑いましたが、本物でした。

 

よほど下手なことをしなければ通りそうですが、お粗末だったのでしょう。

 

在留資格認定証明書交付「申請書」は、最近(今年度になってから?)、様式が変わって、

申請回数や不許可になった際にその理由を書く項目が足されたのです。

 

けれど、その時はまだ旧様式でも受理してもらえたので、

自己申告はしなかったのですが入管から会社へ電話がかかってきて、

以前、不許可処分になっているということが発覚しました。

 

理由はわからないものの、それ自体は罪ではないので、

今回の申請には影響ないだろうと思いました。

 

<2度目の不交付処分の理由>

 

ところが別の問題が起こりました。

前回の申請時に書いた職歴と、今回の申請で書いた職歴が異なってしまったのです。

それで今回(2回目)の申請も不許可処分となりました。

 

虚偽記載、虚偽申請です。

 

これは再申請をしてもムダだろうと助言しました。

 

方法があるとすれば、取消訴訟を提訴して、身の潔白を証明するしかありません。

前回の申請は本人が意図せず、知らぬ内容で相手方の会社が無断で作ったものだと・・・。

 

取消訴訟の被告は「国(日本)」です。

なかなかの強敵です。

 

本人の身の潔白を証明するには、前回の申請に関わった者たちの罪を暴かなくてはならないので、

相手方の会社と名誉毀損等で別の訴訟が起こる可能性があります。

 

そうなると弁護士を雇う必要性が出てくるでしょうし、費用もかかります。

 

受け入れる会社さんは「そこまでのやる気があるのでしょうか?」と問うと、

予想通り、引き下がる道を選ぶこととなりました。

 

なので、この件はこれでお終いだと思いきや、

思いがけず続きます。

 

<執念を垣間見る>

 

どうやら本人の妻(ベトナム人)は、日本の大学を卒業していて、

今はベトナムにいるけれど再び日本に戻って働きたいという気持ちがあるのだそうです。

 

"彼(旦那)は「家族滞在」の在留資格が取れますか?"という質問を受けたのです。

 

その執念に驚きました。

 

家族滞在は週28時間働くことができますが、

それでいいのだろうか・・・???

 

不可解なことがてんこ盛りな相談でした。

 

私の返答は「妻は問題ないでしょうが、彼については判断がつかないので入管に直接訊いた方がいい」と伝えました。

ITエンジニアとしてはもう無理でしょうが、家族滞在は違う要件なので職歴は関係ありません。

あとは、今回の虚偽記載・申請が罪として残るか否かが争点です。

 

物語は続くようです。