夫婦(ベトナム人同士)で送り出し機関を経営していて、3年程摩前はそこによく出入りしていたのですが、この頃は疎遠になっていた知人が昨年あたりにお弁当屋を始めました。
嫁のSNSへの投稿を見て知ってはいたのですが、詳しく話を聞いたわけではないので「コロナ禍で行き詰まったために他の事業に乗り出したのだろうな・・・」と傍観していました。
昨日、もともとの本業の方で用件があったので、
「まだ送り出し機関の仕事はやっているのか?お弁当屋さんになっていないか?」を確認すべく訪問してきました。
送り出し機関の仕事はやっていたものの、渡航制限がかかる前に全員送り出したため、新規のオーダーもなく、やることがなさそうでした。
小規模な送り出し機関だとこういう状況は多いのだろうと思います。
気になるお弁当屋事業の方は、工業団地向けの仕出し弁当のようです。
当初は20,000ドン、25,000ドン、35,000ドンとランクがあったのですが、
35,000ドンは需要が少ないので移動を考えると採算が合わない、
20,000ドンは薄利なので採算が合わないという理由で25,000ドンに絞ったそうです。
25,000ドンは約125円です。
「これを売ったとてどれほどの利益が出るのだろうか?」と思ったら、
5,000ドン(約25円)ぐらいだと教えてくれました。
原価計算に何が含まれているのか詳しくは聞きませんでしたが、
仮に食材等の原材料費とスタッフさんらの労務費は含めていて、原価に経営陣の取り分は含めないとします。
この仕出し弁当屋の事業のために、工場を建てて、配達車(トラック)を買って、
約1,000万円かかったそうです。
1日の利益が5,000円ぐらいだそうです。
10,000,000÷5,000=2,000日
初期投資の回収に5年以上かかることになります。
もちろん、これからどんどん売り上げ数が伸びるかもしれません。
けれど、そうなれば競争相手が増えることが考えられます。
先行者利益があるかもしれませんが、
彼らも「仕出し弁当が儲かるらしい」と聞きつけた後追いです。
25,000VNDは、ワーカーさんらの1食分としてはやや高めの設定で、
一般的には20,000VND未満だそうです。
提供するお弁当を食べていないので味の評価はできませんし、
「あっちの工場の方が弁当がうまいという理由でワーカーが職場を変える」という話もあるぐらいですから、
需要があるのかもしれません。
けれど、自分が知る限りではこの夫婦は今までに飲食関連の仕事をしたことがないはずなので、立ち回りがうまいとは思えません。
ベトナムの送り出し機関あるあるですが、経営幹部が独立して、新たな送り出し機関を作ってお客さんを奪って行くということは日常茶飯事です。
この仕出し弁当事業も、良いシェフやマネジャーを雇えて儲かるビジネスとなったとき、彼らがお客さんを奪って独立するということを想定しなくてはならぬはずです。
諸々なことを鑑みると、なぜそんなビジネス始めたのか?
と一見思いますが、ベトナム人にしか見えぬ活路があるのかもしれません。
行き詰ったら工場とトラックを友人価格で売ってくれ、と頼んでおきました。