ベトナムの会社は、組織としての体を成していない
ベトナムの会社は、組織としての体を成していないと感じることが多々あります。
バーナードによると、
組織とは、
- 共通の目的を持っていること(組織としての目的)
- お互いに協力する意思を持っていること(貢献意欲)
- 円滑なコミュニケーションが取れること(情報共有)
が3要素とされています。
「そんな会社がベトナムにあるのかい?」と思うぐらいなので、
逆にいうとよく会社経営が成り立っているものだと感心します。
<組織としての目的達成と貢献意欲>
会社経営の手法が下手だというよりは、
ベトナム人思想が問題でして、
多くのベトナム人にとって会社員になるということは①給料を得るための行為、②キャリアアップの過程です。
①は労働条件に定められたことは行うけれど、それ以外のこと(特に面倒なこと)は行いません。
なので、営業人員の場合は固定給+歩合給での契約が多いです。
また、②の場合は①よりも自発的・能動的・積極的に仕事に取り組みますが、優秀な人ほど将来は自分で会社経営を行いたいという野心を抱いている者たちが多く、知識・経験・人脈・資金を貯めたら独立します。
その貯め込んだものを最も発揮できる場は同じ業界なので、会社としては将来自分のライバル会社を作る存在を養っていることになります。
円満に会社を辞めて自分の会社を立ち上げるというのであればまだ良いのでしょうが、
会社員として勤めつつ自らの会社(同業界で同種の仕事)を立ち上げて顧客を横取りしているというケースが多々あります。
特にマネジャー層。
<貢献意欲と情報共有>
先日、知り合いの送り出し機関の社長から頼まれごとをしました。
どうやら営業をかけている先があって、先方がセンターの日本人教師と話したいと言っているので対応してもらえないかと内容でした。
最初は、彼のセンターで働いているということにしてほしいという依頼だったので、それだとウソをつくことになるので嫌だと断ったのですが、センターを訪れたことがあって内情を知る人物からの説明でよいというので引き受けました。
電話で話したのですが特に問題もなく、嘘をつく必要もなく事なきを得たのですが、
(日本人とのやりとりでありがちな)資料を作って送ってほしいという展開になりました。
その旨はセンターの責任者に伝えて引き受けてもらい、
双方へ本件において自分はお役御免であることを伝えて承諾をもらい、その時点で任務から離れました。
センター側は「今週中に作ります」と言っていたのですが、心の中で「(やらないだろうなー)」と思っていました。
けれど、管理・監督まで行うと深みにはまっていくので口出ししませんでした。
ベトナムの仕事のやり方は、基本的に「分業」です。
それも細かく区切ります。
例えば、自分であれば、自己資金で会社経営を行い、自分で営業・折衝・交渉して、契約書やプロモーションのためのチラシ・カタログを自分で作っています。
なので、突発的な事象(例えば資料を作ってほしいという顧客からの依頼)に対してもすぐに対応できますし、自分だけで処理することができるものであれば当日または翌日には完成させて然るべき先に提出します。
ベトナムの送り出し機関でいうと、最大出資者や最高経営責任者は日本語ができないことが多いです。。
日本語が話せる者はパソコン操作が苦手な者が多いですし、ちまちました作業をやりたがりません。
担当部署や各々の部下に任せます。
報連相ができるベトナム人スタッフはベトナムの送り出し機関には皆無なので、必ずどこかで情報伝達が滞るか、誤ります。
そして、一人一人の作業スピードとレスポンスが遅いので、30分で済むことが3日かかります。
そのうち次から次へと仕事が積もっていき、スケジュール管理・タスク管理をしている者もいませんので、
いずれ忘れ去られて依頼主からクレームが来るという繰り返しです・・・。
ちなみに、仕事ができないスタッフを叱りつけると、そのスタッフはすぐに辞めていきます。
どうしてベトナムで会社経営が成り立っているのか不思議で仕方ありません・・・。
<ベトナム式人事手法>
ベトナム的解決手法の1つとして、家族経営が多いことだと思います。
仕事よりも家族を大事にする考えなので、同じ会社で家族と働いていると母体(店や会社)を大事にするようになります。
・目的達成意欲
・貢献意欲
・情報共有
密になります。
ただし、家族経営だと事業規模が限られてしまいます。
そこで、事業を拡大するにあたってベトナムの人事戦略として長年用いられているのが「他人を家族化する」という手法です。
それについては、また別の機会に述べさせて頂きます。