不法就労外国人を雇用した結果、倒産に追い込まれた事例
<悪質ブローカーの暗躍>
いかにも人をだましそうな悪い人相をした人が詐欺師にむいていないように、
悪徳ブローカーは、物腰柔らかく、丁寧な日本語を操り、さわやかな笑顔で「私は日本とベトナムのかけ橋になりたいです。」と熱い夢を語り、相手を信用させます。
不法就労外国人を雇い入れている経営者たちは、その事実を知らないことが多いです。
口達者なブローカーが言葉巧みに丸め込んだか、または偽造した在留カードを見せて、
「大丈夫、問題ありません、安心してください」と欺きます。
元・失踪技能実習生H氏が失踪後に雇われていた会社がそうでした。
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<元失踪技能実習生H氏の証言>
H氏曰く、経営者(日本人)はH氏たちが不法滞在・不法就労であることを知らないはずだと言っていました。
彼女が入社した当時、日本人と外国人の比率が半々ぐらいだったそうですが、ベトナム人たちの働きぶりに感心した経営者は、ベトナム人の採用を増やし、最終的に日本人を3人までに減らしたそうです。
ベトナム人ブローカーA氏は信頼を得て、増員オファーを頂いたことになります。
また、H氏たちの給与は企業から直接支払われるのではなく、
ベトナム人ブローカーA氏から支払われていたそうです。
そこに搾取が発生していることもH氏は認識していました。
ブローカーA氏のビジネスは大成功です。
働かずとも自分の懐にお金が毎月舞い込んできます。
口コミでさらなる顧客を得られるかもしれません。
けれど、盛者必衰というのか、
栄華は長続きしませんでした。
H氏が勤めていた工場の同僚(不法就労外国人)が仕事中に指を切るというケガを負ったそうです。
彼女が不法就労だという認識がない経営者は、当然、病院に連れていきます。
事前にブローカーA氏がその情報をつかんでいれば、他人の健康保険証を用意してその場を凌ぐことができたのかもしれませんが、事遅しです。
彼女が不法滞在・不法就労であったことは病院で分かる。
労災の調査が入るだろう。
いずれは入管がやってくるだろう。
そう考えたのは、その会社で働くH氏を含めた他の外国人たちです。
一斉に、ちりぢりバラバラに離散したそうです。
ブローカーA氏がどうなろうとどうでもいいですが、
その会社は、翌日、日本人3人だけが取り残されて、運営していくことになりました。
これが起きたのは2017年の話だそうです。
自分がH氏に会ったのは2019年の冬。
H氏が言うには、彼女が勤めていた会社は倒産したそうです。
これも「人手不足倒産」の1つなのかもしれませんが、
厳しい見方をすると、
無知は罪であり、罪に罰があたったように感じます。
(※技能実習生失踪問題についてのより詳細はこちらへ)